こんにちは!まちおこしライターのハシゴダカ(@hashigodaka_com)です!
先日、 東北農政局による、
GFP輸出促進に関する勉強会に参加してきました。
日本の人口が減り続ける中、
農林水産物の輸出は、更に拡大する市場です。今日は輸出促進に関する勉強会に参加するため、仙台に来ました。 pic.twitter.com/D2vYHWlePq
— ハシゴダカ@6次産業化ライター/山形県庄内町地域おこし協力隊 (@hashigodaka_com) September 25, 2019
GFPについては、
こちらの記事で詳しく解説しています。
今回の勉強会では、とても興味深いお話がありました。
それは、農林水産物・食品の輸出に関する状況について。
農林水産物・食品の輸出先トップは…?
こちらの表をご覧ください。
こちらは農林水産省による2018年のデータ。
農林水産物・食品の輸出額上位20カ国を表しています。
輸出先国の第1位は、香港です。
金額は、2,115億円。
第2位の中国、1,338億円を大きく引き離しています。
ひょっとすると、ここまでの情報はご存じの方も多いかもしれません。
私も、「確か香港とか台湾への輸出は多いんだよね~」
といった程度の認識でした。
しかし、この現状をもう少し詳しく捉えようとすると、
とある思いが頭に浮かびます。
それは、
「3位アメリカ、2位中国、1位香港…あれ?香港ってそんなに人口多いっけ?」
という疑問。
実は、香港の人口はたったの約750万人。
対して中国は、ご存知の通り世界一の人口を誇る超大国。
その数、およそ14億人。
香港の人口は中国と比較して、約180分の1程度の規模に留まります。
この事実だけを捉えると、「小さなマーケットだろう」という印象を抱くのが当然ですが、
そんな香港に対して、日本は対中国の2倍近い輸出額を記録しているのです。
これは、例えば「香港は親日だから…?」
といった抽象的な理由だけでは説明がつかない数字です。
果たしてなぜ、このような実績を残しているのでしょうか。
食品輸出の入門編として、データを元に読み解きます。
生鮮品を自由に輸出できる数少ない国
こちらの表は、各国へ農産物等を輸出する際の
検疫条件をまとめたものです。
多くの国では、
「Q」:植物検疫証明書(輸出検査に合格すると発給)の添付が必要
「PQ」:植物検疫証明書と輸入許可証(相手国より発給)の添付が必要
「×」:輸出不可
といった記号が並びます。
一方香港は、全項目が「◎」という表記。
こちらは、植物検疫証明書が不要であることを意味します。
つまり、輸出検査無しでの輸出が可能なのです。
※放射性物質検査等、一部例外があります。
その点、中国は「×」がたくさん並んでいます。
品目別・国別の詳しい制度については、
のホームページから確認することができますが、
このデータだけでも、人口と輸出額が比例しない理由を推し量ることができます。
しかし、この表をじっくり読み解いていくと、
また新しい疑問が湧きあがりました。
そう、「シンガポール」と「マレーシア」も全部「◎」なのです。
しかし、先述の輸出額順位表では、
シンガポールは8位、マレーシアは13位となっています。
検疫条件は同程度でありながら、なぜこのような差が生じるのでしょうか。
地理的にも優位
香港とシンガポール・マレーシアとの間に差が開いている要因のひとつは、
「地理的優位性」によるものです。

出典:旅Pocket
こちらの地図は、日本から周辺国へ移動する際の所要時間を表しています。
一般的に香港は日本から4時間圏内とされていますが、
シンガポール・マレーシアへの移動に掛かる時間はともに約7時間。
これが実際の時間差以上に大きな違いを生み出します。
極端な例を挙げると、
「朝に日本で競り落とした魚を、その日の夜に現地の寿司屋で提供できるか」
という違いです。
シンガポール・マレーシアでは困難ですが、
香港との距離であれば実現することができます。
この条件は日本国内での流通時間とほぼ同等であり、
更に検疫条件も相まって、
国内での取引に近い感覚での輸出が実現します。
まとめ
ここまでを取りまとめると、
「検疫条件のハードルが最も低い国の中で、最も日本との地理的優位性を有している」
という事実が浮かび上がりました。
引き続き次回は更に詳しく、
香港の方々の所得や税金、消費の動向について分析します。